「たった3秒で 『あの人』の心を奪う方法」を紹介する。
商品やサービスのキャッチコピーは、相手に具体的に動いてもらう点で交渉に使える。しかし、相手が不特定多数である点では、むしろ高レベルのリーダーシップに似ている。
野村ゼミ最終年度11月10日火曜日に開催されたコピーライター養成講座(実践編)のプレゼンテーション資料である。制作者である大阪大学法学部法学科3年児玉直徒君の許諾を得て掲載する。
2015年11月16日月曜日
2015年11月1日日曜日
ファシリテーションによる合意形成ー授業用教材の紹介
学生による仲裁(ディベート)や交渉の練習を観察していると、まずいパーフォーマンスの原因がチーム内の意見の整理や合意形成のまずさにあることに気づく。ハーバード型交渉法の「立場ではなく利害を強調せよ」とか「よいコミュニケーションを心がけよ」というポイントも、一部の学生にとってはお題目で終わっているのだろう。
他方、リーダーシップの授業では、チームメンバーの意見を引き出して合意形成へとつなげるファシリテーションが重視されていて、意識的に練習したときにはかなり上手な学生が育つ。今年の「リーダーシップを考える」の授業では、「他の授業で使いたい!」と思わせる受講生によるファシリテーションのプレゼンがあったので、その資料を仲裁・交渉の受講生にフィードバックしてみた(1)。ファシリテーションの手法は、仲裁や交渉の準備に有益なだけではなく、実際の交渉においても有効だと思う(2)。
大阪大学の「リーダーシップを考える」は、他のリーダーシップ系科目と比較して、受講生が授業内容を企画して運営できるようにデザインされている。2015年10月21日水曜日の授業では受講生がファシリテーションを学びながら、同年11月14日の合宿の授業内容を決定するためのディスカッションを行った。
ファシリテーターをつとめた法学部法学科4年の桂田祐希君は、この2年間で優れたファシリテーション力を身につけた。そのパワーポイント資料も簡潔でわかりやすかったので、許諾を得てブログでも公開する。この資料は、堀公俊『ファシリテーション入門』(日経文庫 2004年)の内容を簡潔に整理して、「合宿の授業をどのような内容にすべきか」の意思決定に応用したものである。出典の引用方法だけを修正した。
以下のスライドでは、『ファシリテーション入門』の重要ポイントが、たとえば「ファシリテーションとは」なにかというように、1枚にまとめられているので、他の授業でも使いやすい。さらに「メリットデメリット法」を授業内容の選択に応用した例も示されていて、学生にはわかりやすいと思う。また、ハーバード流交渉術をとりあげるデメリットを「斬新さがない」とする評価が適切かなど、みんなで議論する素材としても使うとおもしろいだろう。
わたしは、堀公俊氏の「単に場数を踏むだけでは学びは深まりません。必ずチームからフィードバックをもらって、自分を振り返るようにしましょう」(『ファシリテーション入門』192-193頁)という言葉に感銘を受けた。凡人は経験からは学べない。他人からのフィードバックがなければ学べないのである(3)。
(1) フィードバックの効果はまだわからない。本来は学生同士が授業の枠を超えて学び合ってくれると一番よいのだが、大学対抗交渉コンペティションに参加するという明確な目的を持つ授業は、学生が「関係ない授業」に目を向けないという弱点を有している。
(2) 仲裁(ディベート)は当事者双方が対立する型を本質とするので、ファシリテーションは当事者のいずれかが準備する際には役に立つが、実際の仲裁では使えない。仲裁人がファシリテーションを多用すると、調停と仲裁の混合型の「調仲」(med・arb)になるおそれがあるので、仲裁当事者の合意なしには許されないだろう。「調仲」については、澤田壽夫「ADRとは ~『仲裁』『調停』の基礎知識」参照。http://www.adr.gr.jp/columns/002.html.
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