2024年11月3日日曜日

アフリカ在留日本人は南極についで少ない

 日本からアフリカへの投資は中国その他の諸外国に比べると極端にすくないというのは、小林栄三さんが大阪大学の「経営者と語るリーダーシップ」の授業で毎年強調される点だ。いつもは世界地域別の人口予測(下記*参照)、各国の投資額とともに在留日本人の数も示されるのだが、在留日本人の数は今年の資料にはなく、口頭で指摘されたのみだった。

*小林 栄三「挑もう!より良い未来に向けて」2024年10月24日 大阪大学グローバルリーダーシップ・プログラム 2024年度 「経営者と語るリーダーシップ」 より


 気になっていたところ、今朝の日経新聞でアフリカ開発銀行(AfDB)のアデシナ総裁が同様の指摘をしていたので、在留日本人のデータを調べてみた。それが次の投稿である。

Facebook2024年11月3日日曜 18:54投稿より 

 外務省「海外在留邦人数調査統計」 R5(2023)10月1日(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100436737.pdf)によれば、アフリカ地域に在留する日本人は、南極の28人についで少なく、わずか6,528人(在外公館に届出されている「在留届」に基づく)。

 アフリカ開発銀行(AfDB)アキンウミ・アデシナ総裁の次の記事はは、見出しは「日本は乗り遅れるな」などと感情的だが、内容はデータに基づいた提言である。総裁は次のように指摘する。
「新興国もビジネスに乗り出すなか、紛争や汚職への不安から、日本は投資をためらっている。」「成長のための選択肢は工業化しかないと考える。だから、日本からの投資が必要なのだ。米国や欧州、中国はチャンスを見いだしているが、日本は投資をためらっているために影が薄い」 日経2024年11月2日
 

2024年9月14日土曜日

あきらめないはSoldier’s Creed

 

Facebook 2024914日土曜日 16:59

 

98日@淡路島のVisionary World Cupで、交渉コンペ高評価校の特徴が「諦めない」と「勝ち負けに拘る」だと話した。もちろん悪く働くと、斎藤元彦兵庫県知事のようになる。

コントラクターという映画でみたアメリカ陸軍特殊部隊の建物にも同じようなのが貼ってあった。

"I will always place the mission first.
I will never accept defeat.
I will never quit."

 確認したら、Soldier’s Creedの一部らしい。https://www.army.mil/values/soldiers.html.

2024年4月28日日曜日

ルールを破ることと創造的であること

 

Breaking the Rules and being Creative

 

パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナード氏の言葉で「ルールを破ってクリエイティブであること」が気になったので、元の出典(インタビュー)を示す。https://one.npr.org/i/504852483:505017995.

ルールを破って創造的になるのかルールを破るためには創造的でなければいけないのか。シュイナード氏は、今までとは違うこと、違うやり方をすることを「ルールを破る」と言われているようだ。

 

“Well, you know one of my favorite quotes is if you want to understand the entrepreneur, study the juvenile delinquent. Because they're saying you know this sucks I'm going to do it my own way and I have a background of as I was always the shortest guy around I could play sports pretty well you know team sports but when it came time for a actual game I would fumble the ball and I realize that the best thing to do is invent your own sports then you can always be a winner and so that's what the entrepreneur does, they just say this is wrong I'm going to do it this other way and if you want to be successful in business you don't go up against Coca-Cola you know these big companies there they'll kill you. You just do it differently; you figure out something that no one else has thought about and you do it totally different way and so breaking the rules you have to be creative and that's the fun part of business. Actually, I love breaking the rules.” Patagonia: Yvon Chouinard[1], DECEMBER 12, 201612:01 AM ET,

https://one.npr.org/i/504852483:505017995.

 

次の講演では、ルールを破ってビジネスを成功させると言われているように思う。

 

“For me the only enjoyable part of business or the most enjoyable part of the business, since I am kind of a contrarian, is breaking the rules, and then making it work.” Chouinard, Yvon, “The Education of a Reluctant Businessman[2] with Yvon Chouinard.”

https://youtu.be/NVfy2T0rzMc?list=PL223295B1C0842878,

at: https://youtube/NVfy2T0rzMc?list=PL223295B1C0842878&t=1468

 

 

参考文献

「革新を生むルール違反、「創造的逸脱」とは?中央大学・高田直樹さんと考える、イノベーションを育む組織のかたち」

https://www.cultibase.jp/articles/11084

 

「ルールを破ることを学ぶ - 課題解決力を高めるには」

https://www.linkedin.com/learning/developing-resourcefulness-3/5028992

Paraskevas Petrou, Dimitri van der Linden, Oana Catalina Salcescu, “When Breaking the Rules Relates to Creativity: The Role of Creative Problem-Solving Demands and Organizational Constraints” The Journal of Creative Behavior, Volume54, Issue1,March 2020, Pages 184-195: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jocb.354.

 Druann Maria Heckert, Daniel Alex Heckert, “Positive Deviance” in Chapter 5, Erich Goode ed., The Handbook of Deviance (John Wiley & Sons, 2015).

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/9781118701386.ch5.

 George Becker, The Mad Genius Controversy: A Study in the Sociology of Deviance (SAGE Pub, 1978).  https://psycnet.apa.org/record/1980-50604-000.

 Howard Becker, Outsiders: Studies in the Sociology of Deviance (Free Pr., 1963); “When a rule is enforced, the person who is supposed to have broken it may be seen as a special kind of person, one who cannot be trusted to live by the rules agreed on by the group. He is regarded as an outsider.”

https://monoskop.org/images/2/2b/Becker_Howard_Outsiders_Studies_In_The_Sociogy_Of_Deviance_1963.pdf.


 



[1] Yvon Chouinard (born November 9, 1938)[1] is an American rock climber, environmentalist, philanthropist, and outdoor industry businessman. His company, Patagonia, is known for its commitment to protecting the environment. From https://en.wikipedia.org/wiki/Yvon_Chouinard, visited 20240428.

[2] Chouinard, Yvon, 1938. Let My People Go Surfing: The Education of a Reluctant Businessman, Including 10 More Years of Business Unusual /. New York: Penguin Books, 2016. https://search-ebscohost-com.osaka-u.idm.oclc.org/login.aspx?direct=true&db=edsvle&AN=edsvle.AH31455103&lang=ja&site=eds-live.

2023年10月18日水曜日

世界最先端のリーダーシップ教育への挑戦

 「世界最先端のリーダーシップ教育への挑戦」『産業能率』2020.7-8夏季号,2-3頁

大阪大学特任教授(名誉教授) 野村美明


大阪大学では、国立大学としてはめずらしくリーダーシップ養成のためのプログラムを提供している。国際公共政策研究科のグローバルリーダーシップ・プログラム(以下「GLP」という)である。GLPは、大学だけでも企業だけでも優れたリーダーは育てられないという考えから、志ある企業とパートナーシップを組み、企業や社会で必要とされる変革のためのリーダーシップの教育に挑戦している(http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/leader/)。

GLPの1つの特徴は、企業や政府、NPOなどで活躍するリーダーをゲストスピーカーにお招きして、学生に本物から学べる機会を提供している。しかし、なんといってもGLPの最大の特長は、授業の運営を受講生に任せることで、学生がお客様ではなく自ら動いてリーダーシップを体験する世界でも有数の場を提供していることだ。教員は学生が自らやってみるための舞台を作り、学生が舞台上でスポットライトを浴びるのである。

1学期の間に受講生らがチームを組んで、ゲストや企業担当部署とのメール連絡、ファシリテーター、ホワイトボード、マイク回し、講義録議作成など、様々な役割を分担する。15回以上の授業の運営にあたると、あるときはディスカッションや質疑のクオリティーが高くてゲストや受講者が感激し、またあるときはみんなが欲求不満を感じる失敗例も生じる。成功体験と失敗体験を緊張感を持って繰り返し学べるのである。

興味深いことに、1学期を通じて学生を観察していると、実際の社会のリーダーシップについていわれているようなことが教室でも起こっていることがわかる。

ファシリテーターは、ゲストのプレゼンテーションを受けて受講者に発言を促し意見を引き出す責任を負っているが、自分をよく見せようとする気持ちが強いと、受講者の反応は目に見えて悪くなる。私心を捨てられないリーダーにはみんな気持ちよくついていけないのである。

1学期を通じてリーダーシップ力が格段に伸びる受講者とそうではない学生がいる。伸びない学生の多くは、メール連絡やマイク回しを「雑用をやらされている」と不満を言う。反対に、伸びる学生は、雑用を「率先垂範」し、「あきらめない」で「クレーマーにならない」で「責任を果たす」のである。

こんなところにも、社会で尊敬されるよいリーダーシップに見られる重要な要素が働いているといえよう。リーダーシップは教室で学べないというのは誤解である。大学も企業も、教室は多様な価値観や考え方に満ちた社会のミクロコスモスなのだということに気づいていないのである。

プログラム創設から13年、リーダーシップの実験室から社会に出て行った志の高い若者達が教員として大学に戻ってきている。残念ながら日本の大学ではリーダーシップの専任教員はまだ雇えないが、薄給の非常勤講師や無給の支援者として、社会を変える意欲を持った学生を育てたいというのだ。大学と社会との間でリーダーシップ養成のためのサイクルを回すことは、世界のトップスクールでもいまだ実現できていない。日本の文系学部でも、未来に向けた世界最先端の教育への挑戦がはじまっているのである。


2023年5月19日金曜日

リーダーは最後に食べなさいの意味再考

 

 以下は、以前の投稿[1]を読みやすいように整理したものである。Ver.2023-05-19

海兵隊でリーダーは最後に食べよというのは、リーダーシップの真価が自己より他者の要求を優先する態度にあるからだ。偉大なリーダーは、他者を従わせる特権があるから他者を真に大切に思い、その特権が私利私欲を捨てることで与えられたものだとわかっている。元海兵隊中将George Flynn[2]

出典は次の書籍の序文である。Simon Sinek[3], Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don't (Penguin UK, 2014)  ISBN 0670923184, 9780670923182

サイモン・シネック (), 栗木 さつき (翻訳)『リーダーは最後に食べなさい! ―最強チームをつくる絶対法則』(日本経済新聞出版社、2015)[4]

栗木さつき氏の翻訳とは少し異なるが、これは、リーダーが他人をしたがわせる「特権」と、リーダーが特権と引き換えに他人に対して負担する他人利益優先「義務」の関係を明らかにするためである。

海兵隊のように生死に関わる状況に直面した場合には、リーダーは自己を犠牲にして部下の安全を守る責務を負うことになる。日頃から自己利益より部下の利益を優先する態度を身につけておかないと、部下の信頼を得ることは出来ないから、非常時にチームとして行動することが出来ず、結局チームを危険にさらす結果となる。

生命の危険が存在しない大学の授業においても、リーダーとしての仕事を任された学生が自分の利益を優先させてしまうと、信頼を失ってだれもついて来なくなる。たとえば次のケースがそうだ。

リーダーは最後に食べなさいという。大学のリーダーシップの授業で、ゲストスピーカーをお願いした卒業生らを招いて意見交換会をした。リーダー役の男女二人の学生は、見事に場を仕切っていた。さて、乾杯が始まって食事の時間になると、この二人は真っ先にかぶりついていた。ところが、企業トップだった卒業生は、たくさん並んだ瓶ビールの王冠を懸命に開けていた[5]

この卒業生が瓶ビールのふたを開けていたのは自分が飲むためではないのはもちろんである。リーダーシップの練習をしているのに、他人のために動こうとする学生がだれもいなかったのである。


[3] Simon Sinek, an unshakable optimist, is the author of the bestselling book Start with Why, which challenged traditional assumptions about how great leaders and great companies inspire people. He has shared his ideas with companies big and small, members of Congress and the highest levels of the US military. His TEDTalk based on Start with Why is the second most popular video of all time on TED.com. He lives in New York City.

[4] http://www.amazon.co.jp/dp/4532319757/ref=cm_sw_r_tw_dp_oq6fvb14ENF5B …

[5] 次のツイートに加筆した。https://twitter.com/nomurakn/status/582078013824581633.

2023年5月2日火曜日

大阪大学OSIPPグローバルリーダーシップ・プログラム 2023年度 共通テキスト20230421版

大阪大学大学院国際公共政策研究科グローバルリーダーシップ・プログラムで使用している共通テキストです。

































 

2021年7月25日日曜日

出会いの場を作る教育

出会いの場を作る教育、名門音楽院でも実践しているのだと心強く感じた。聞き取りの訓練もファシリテーションに通じるものがある。


 パリ国立高等音楽院即興演奏科[1]の卒業試験は自分の即興演奏論を展開しなければならない。おのおので見つけていくものなので、先生たちはいちいち教えられない。だから出会いを作ってくれる授業。

一年の半分以上は、色々なジャンルのゲストをただひたすらに呼んでくる。ダンサーとか民族音楽の歌手とか。空手家とか。空手家の授業は欠席したが、後で聞いたところでは気合を入れろとかだったらしい。即興演奏は瞬発性とか瞬間の判断と決断力が求められる。そのときにちょっとでも躊躇しないように、ともかく気合が。

他には、聞き取りの訓練。人が演奏したものからどれだけ理解できるか。しかも、面白いところを瞬間的にどれだけ捉えて理解するか。清塚信也のピアノの即興演奏による聞き取り訓練の再現映像あり。

 

出典:サクソフォン奏者・平野公崇さんのお話。NHK 722日(木)放送「魅惑の即興演奏〜音楽で会話する〜」



[1] Le département Jazz et musiques improvises”のことか。<https://www.conservatoiredeparis.fr/fr/departement/jazz-et-musiques-improvisees>