2010年5月19日水曜日

百貨店は斜陽か-大学と同じ

千里中央のH百貨店をよく使う。混雑が嫌いだからだ。でも儲かっているのか心配だ。

客が少ないから悪循環なのかもしれないが、最近の店員の商品知識がないのと顧客の声を聴けないないのに驚く。

いつも幅広靴をもとめているのだが、EEE以上というと、あまりありませんねという対応でだいたい終わる。売る気がなさそうだ。らちがあかないので本店に行ったら、EEEEサイズというのはFサイズと呼ぶのだという。それだったらはじめから教えてくれ。結局Fサイズの靴の種類をいくつか教えてもらって千里中央店に電話すると、そういう靴は靴売り場には置いていない、もしかするとウオーキングシューズの売り場にあるかもという。(どこがちがうの?顧客目線ではないよね。昔の市役所ではないでしょう)そこに在庫があるかと尋ねると、売り場が違うからわからないという。

このような店員が特別なのかと思ったら、そうでもなかったので。先週靴クリームを買いに行ったら、いつもの商品が品切れだった。別のメーカーの商品しかなかったので、違いを尋ねると、同じだという。こちらは値段が安いのではないかというと、容量が少ないからでしょうと答える。納得して買って帰って使ったら、指に黒い色が付いてなんべん洗ってもとれなかった。前の商品ではそんなことがなかった。外出する前だったので大変だった。

品切れ商品と在庫があった商品の違いは、恐らく染料の違いではないか。もしそうなら、説明して欲しかった。おそらくこのことを売り場に報告すると、この商品のほうが強力に色が付くので売れているのですとか何とか答えるだろう。

H百貨店の靴売り場に限らず、経験豊かな消費者のほうがはんぱな店員より知識が豊富になる場合がある。これで量販店の店員の方が商品知識が多く顧客の声をよく聴けるとすれば、百貨店が斜陽業種になるわけである。反対に言えば、百貨店は一カ所に行けば標準以上のレベルの商品が何でもそろえることができるというメリットをまったく生かしていない。

おそらく百貨店経営者からは、いろいろな商品をそろえているから店員の商品知識が薄くなるのですという解答がくるだろう。しかし本当にそうなのだろうか。知識がないのが問題なのではない。いい加減な知識で答えたり、顧客の求める情報を他から入手する気がないところが問題なのである。

実はわれわれ大学教員も同じなのだ。学生や市民は大学の法学部の教授なら何でも知っていると期待するかもしれないが、いろいろな商品・サービスが登場して、これだけたくさん新しい法律や判例が蓄積されてると、実はわからないことだらけだ。ここで知ったかぶりをしていると、大学も斜陽業種になりかねない。ではどうすればよいか。顧客の求める知識が手元にない場合には、知っている人に聞いて提供するか、知っている人に紹介すればよいのである。

顧客を囲い込もうとせずに、顧客の求めるものを聴き取って、よりよい知識とサービスを提供できる教師や専門家に紹介する。これが百貨店と大学教授が斜陽業種化しない方法である(日本の昔の比叡山の「大学」はそうだったようだ。これについてはTwitterのnomuraknで書いておいた。)。ここはポジティブに、百貨店と大学には未来があると言っておこう。変革さえできれば。

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