前原外務大臣は外国人政治献金問題で、「私心を捨てて」辞任した。私心を捨てて公務にあたれ"Obliti Privatorum - Publica Curata"。ラテン語でクロアチアのドゥブロヴニク旧総督府の碑文にある(下の写真参照)。15世紀頃に広まった政治家の「理想」を表す標語らしい。
鳩山邦夫総務大臣とのバトルで有名になった日本郵政の西川善文前社長にリーダーシップで一番重要なことは何かときいたら、迷わず「私心を捨てること」だと答えた。氏は大銀行の頭取を8年間も務め、日本郵政社長としても鳩山大臣が辞任させられたのに自分は踏みとどまった。私心を捨てることは西川流の打たれ強さやしぶとさの源泉であるようだ。
私心を捨てることは信頼されるリーダーの評価基準になるのではないか。たとえば、民主党政権の鳩山由紀夫前首相や菅直人首相は私心を捨てているように見えるだろうか[1]。
ところで、"Obliti Privatorum - Publica Curata" (forget private affairs - look after the public causes)という碑文があるドゥブロヴニクの旧総督府は、この地方がドゥブロヴニク共和国(ラグサ共和国)であった時代の遺物である。旧総督府は12世紀に建設(15世紀に再建)された。共和制時代の元首が総督(Rector)である。総督は、一ヶ月間の任期で選挙で選ばれたそうだ[2]。任期1ヶ月では私心を介在させる余地はなかっただろう。
図 1.(注3文献より転載) Rector’s Palace, former entrance to the Major Council Hall (photograph: Nenad Gattin)
"Obliti Privatorum - Publica Curata"という言葉がどこから来たかについては諸説がある。プラトンやキケロという説もあるようだが、15世紀頃の西欧で広く流布していた警句からとられたという見解が説得的である[3]。
[2] http://en.wikipedia.org/wiki/Republic_of_Ragusa, last visited on 3/10/2011.
[3] NELLA LONZA,"OBLITI PRIVATORUM PUBLICA CURATE:A RAGUSAN POLITICAL EPIGRAPH AND ITS HISTORICAL BACKGROUND," Dubrovnik Annals 11 (2007): 25-47.
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