以前P社の農業と芸術で若者の自立を支援するプロジェクトをほめた。学生の感想を読むと、利益がちゃんと出ることを重視している。もうけているのではないかと思われることをおそれるよりも、全体としては利益が出るのだということを伝える方が、信用が高まるのかも。<http://twitter.com/nomurakn>2011/10/19
経営者のビジョンや企業のミッションが社員や社会に伝わるかどうかは、受け取る側がその本気度を信じるかどうかにある。いわゆるクレディブルコミットメントのケーススタディとして、学生によるプロジェクトの概要説明と感想文を紹介する。
感想文
法学部国際公共政策学科 3年 安川恭平さん
夏合宿における感想
今回、株式会社P様の施設に訪問し、活動の取り組みに実際に触れ、多くの
ことを学ぶことができた。私は二点に絞って学び取り、感じたことを書 きたい
と思う。
①チャレンジファームの取り組みについて
若者たちの将来の夢を実現していくために、Pグループでは農業の知識を教えて、自身の生活を養い、余った時間で自分の磨きたい芸能活動に取り
込んでいく「半農半芸」活動を推進している。生計を立てていくために農業に注力することにはとても興味を持つことはできた。しかしながら、農業を
している方にお話を聞いていると一つ疑問が浮かび上がった。それは出来上がった製品の流通である。その方のお話を聞くと、質の高い作物ができる
が、実際に売れる値段はとても安く、高品質なものを売っていくか、大量に作物を生産していかないといけないことである。作物の流通について調べてみると、たいていの場合は農協に運ばれて統一価格で売れてしまうため、収入にも限度があるということである。その打開策として、個人の方と契約を
結んで高い値段で買い取ってもらうしかない。Pグループのネットワークで個別契約の窓口を設けることはできるかもしれないが、チャレンジ ファームで働いている人が任期を終え、個別で養っていくことになると、いくら作物を生産できたとはいえ、得られる収入が途端に減ってしまい、従来
の芸能活動ができなくなるのではないかと思われる。
②農薬に関して
農作業を手伝っている中で一つ、驚いたことがあった。無農薬作物の中にも発癌性のある物質が含まれていることである。これは学会でもアメリカの
学者エームスによって発表され、大きな影響を与え、今日でもエームスショックと呼ばれている。
(http://www7.plala.or.jp/organicrose/ames.htm)
よく売られている製品(特にキャベツやレタス)に部分で小さな穴が開いているのを私はよく見かけます。それは言うまでもなく虫たちが食べてしまった後であり、本来無農薬なら、虫もどんどん食べ続け、穴は大きくなっていきます。しかし、穴が小さいままであるのは、虫自身に影響を与える何かが
分泌され、鳥に見つかるのを覚悟してまでも他の葉っぱへ移動しなければならないということです。というのも作物自体も虫に食べられてしまうと、防
衛半農として、虫の嫌がる物質を分泌し、それが葉っぱへ届けられます。実はそれが発癌性を含む物質となっており、人体に害のない化学農薬をかけて
いるよりももっと危険性の高い物質となっているのです。(上のURLを参考にしてください。)
何故こういったことが今まで表面に出てこなかったのかというと、政治的な圧力がかかっているらしく、エームスの研究が誰によっても取り上げられ
ず、無農薬野菜=人体に良いとうブランドがすでに構築されてしまっているということである。
普段あまり接する機会がなかった農業に実際に触れることができ、とても充実した経験を積むことができました。
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法学部法学科3年 貝原正美さん
まず、農業体験についてですが、私達はピーマンとオクラの収穫をしました。
その中で印象に残ったことのひとつめは、農薬のお話です。
虫に食べられると野菜が自分を守るために出す、自然農薬というものがあるため、必ずしも無農薬がいいとは限らない、という内容でした。「無農薬がいい」という固定観念を覆され、情報の必要性を感じました。
ふたつめは、農業をビジネスと捉えるということです。
大規模農場によってコストを抑えるというのも一つの考えですが、狭い日本では付加価値をつける方が有効だとおっしゃっていました。
例えば、時期をずらす・珍しいものを扱う・質を上げる…などです。質を上げる事に関しては長年農家をしている方に勝つのは難しそうですが、珍しいものを扱うことに関しては、アイデア次第で誰にでもチャンスがあり、農業をはじめるモチベーションに繋がるのではないかと思いました。
次に、P社の取り組みについてです。
私の周りには音大に進んだ人が何人かいて、リスクを覚悟で音楽を学ぶ人たちにとってこの制度はとても有りがたいものだと思います。
一方で、P社が何のためにやっているのか、ということを考えます。
会社理念にあっているから、というのもあるかもしれませんが、利益が見込まれないことを企業として行うのは難しいのではないかと思います。
すぐには思いつかないのですが…この取り組みが継続的なものであるよう、きちんと利益がでてほしいな、と思います。
最後に、合宿全体を通して。
料理もおいしかったし、淡路島の自然に触れられたし、何より、あまり話したことない人とも仲良くなれたように思います。
充実した2日間、楽しかったです。
法学部法学科3年 大坪沙也香さん
2011年9月8日から9日にかけて、N先生とゼミの学生数名で淡路島へ行き、合宿を行った。合宿全体を通して株式会社P様の協力を受け、農業体験から食事、移動に至るまで様々な支援をしていただいた。宿泊施設は、P社が取り組む「環太平洋プロジェクト」の拠点として作られた、C村の研修施設をお借りした。
二日間の合宿で、海水浴やバーベキュー、ぶどう狩りなど様々な楽しい活動をしたが、最も印象に残ったのはC村での農業体験であった。C村はP社が運営する農業を通じての人材育成の場で、私たちは農業就業2年目の方からお話を伺うことができた。
その方に、日本がTPPに参加しようとしていることについてどう思うかと質問したところ、驚いたことに「自分たちにはあまり関係ない」とおっしゃった。農業経営が苦しくなり困る、といった回答を予想していたので、とても驚いた。その方によると、「新規就業の自分たちは、長年農業をしている人たちと戦うつもりはない。日本の農業は量では諸外国に勝てない。自分たちは、希少価値、付加価値の高い作物を作り、現行農業や諸外国とは別路線で利益を出していく。」ということだった。実際に、畑には塩味のするレタスや、赤いオクラなど珍しい野菜がたくさんあった。
振り返ると、ゼミでTPPの議論をする際、私たちは旧態依然とした「弱い」農家を想定していたように思う。しかしC村で話を聴いて、それが偏った見方であったと感じた。もちろん日本には私たちが想定したような、小規模で老齢な「弱い」農家が多いのだろう。しかし、新規就業者を支援しようというP社の取り組みは、その現状を打開する力強いものだと感じた。今回C村を見学したが、「環太平洋プロジェクト」についてはまだよく分かっていないので、この経験をつなげてもっと学習してみたいと思った。
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法学部国際公共政策学科 3年 M.Iさん
[自分のこと]
私は、農業体験でオクラの収穫をしました。暑くて虫まみれで泥だらけになると思っていましたが、私の身長より高く成長したオクラに囲まれての収
穫作業は涼しく、気持ちが良かったです。実はたくさんなっていましたが、商品として売ることができるのはほんの一部だったためほとんどを捨てました。一緒に作業をして
くださったP社の方は、農業は割に合わない仕事で生計をたてるのは大変だとおっしゃっていましたが、とても楽しそうに収穫をしていました。
サラリーマン から農家になり、幸せそうでした。今回の農業体験を通して、普段スーパーで何も考えずに野菜を買うことができるのは、作ってくれている人がいるからだということを実感できました。
[人のこと]
農業で自立するチャンスを与えるというP社の取り組みはとても重要だと思います。今まで農業といえば、代々引き継ぐもので儲からないものだというイメージがありました。しかし、P社の取り組みで家族の職業に 関係なく、農 業をしたい人が農業をすることができます。この取り組みで農業に従事する人が増えれば、郊外に若い人が増え、活気づくと思います。
一方で、私が農業体験をした畑では利益が出ていないとききました。また、チャレンジファームの取り組み全体をみても赤字だそうです。一緒に作業
をした方は、
開墾作業から生産物の袋詰め、販売までしなければならず、収穫以降の作業に時間と取られていると話されてしていました。私は、グループを作り、その中で農
作業を行う人、収穫以降の作業を行う人にわかれではどうだろうかと考えました。より利益がでるようになれば、この取り組みに参加したいという
人が増え、日
本が活気づくようになると思います。
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法学部法学科4年 平岡祥一さん
【自分のことについて】
僕は、オクラの収穫を行う班でした。実家でも農作業を良く手伝っているため、作業そのものについては苦に思いませんでした。しかし、だいたい人差
し指程度の大きさのものを刈り取るように言われたのですが、案外難しく、またそれより大きいものや曲がっているものは商品価値がないため捨てると
いうのも「もったいない」と感じ、残してしまうことが多かったです。また、日差しの中の作業で、また腰を曲げることも多いので、日本のように年配
の方が多いことには不安を覚えました。
【人のことについて】
芸術活動を続けながら農作業で生計を立てるというプロジェクトは夢を諦めることなく、人生の幅を広げられるものであり、チャンスを広げられるもの
であると感じました。
しかし、農作業中に聞いた話では、農業はやはり難しい分野であり、利益がなかなか出ず、厳しい状況にあるそうです。今後は法人化することも考えられているそうで、現実に推進していくのは難しいものだと感じました。
まだまだ支援、援助が必要だと思いました。
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法学部国際公共政策2年 中村清人さん
①農業体験に対する感想
自分よりたくさんの経験をしている人たちと一緒に汗を流すという作業が久々だったので非常に爽快でした。一日だけの体験でしたが、Pの方々を 通じて農業に対する理解を少し深められたのではと自分の中では感じています。
②P社の取り組みに関する感想
現在の日本の状況を見ていて、私はいつも若者のエネルギーが今の日本を変えるためには不可欠であると感じていました。P社で自分の目標に向かって努力している人たちを間近で見る事ができ、そのような姿に感心すると同時に自分も負けられないという気持ちを持ちました。自分も周りの人たちと切磋琢磨し自分を高めていくことが不可欠であると感じさせてくれ、自分にとって非常に有益な時間でした。
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法学部国際公共政策学科2年 宮崎史織さん
1泊2日の合宿を通して、普段のゼミでは体験できない活動や交流ができ、ゼミメンバーとの親交を深めることができたと思います。P社、C村の方々のご協力により、有意義な時間を過ごすことができました。
2日目の午前中に、わずかですが参加させていただいた農業体験では、実際に作物に触れるだけでなく、農業プロジェクトに参加されている方のお話も聞くことができました。私はオクラの収穫の手伝いをさせていただきました。実際に栽培を行われている方が目の前にいて、その方が愛情をこめて育てたオクラを収穫するというのは、思った以上に緊張するもので、責任のある作業に感じられました。一緒に作業させていただいて、栽培にかけた情熱や、作物への愛情、出荷するものへのプライドや自信といったものを感じました。
この農業プロジェクトに参加されている方は年齢の幅も広く、大学卒業後に直接参加された方、東京で一旦就職して参加された方など、参加するまでの経緯も様々なようでした。お話を伺ったところ、作物の種の調達、畑の開墾、栽培はもちろん、収穫・出荷までの
一通りの作業を自分たちの手で行われていました。実際には農業プロジェクトによる利益は赤字で、理想通りにいかない現状や、プロジェクトを法人化してさらにビジネスとして利益重視の活動にする可能性があることなど、一目見ただけでは分からない社会に出て働くという難しさ、理想と現実のギャップを何となくですが感じられたように思います。
P社のC村のプロジェクトでは、芸術家を目指す人材の育成と淡路島の活性化という目的を結びつけた活動が行われています。C村のホームページによると、芸術をビジネスにするスキルの育成と、兼業芸術家として生活するための農業技術の提供をサポートしていて、指導にあたる方々も一流の方ばかりです。このようなプロジェクトは新しいスタイルだと思いますし、プロのアーティストを育成しながら、かつ地域の活性化が達成されれば、また次の大きな枠組みでの活動につながったり、他地域でのプロジェクト始動につながったりするのではないでしょうか。
P社の取り組みは私が今まで持っていた「企業」というイメージとは違うもので、とても興味深いものです。また実際にこのプロジェクトに参加されている方たちにお会いし、お話を伺えたことも、本当に良かったと思います。何か新しいものに取り組み、挑戦されている方々の姿はとても輝いて見えましたし、出会いやきっかけの大切さを感じました。今回淡路島での合宿で、C村の方々に本当に良くしていただき、また貴重な体験をさせていただいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。また機会があれば、C村を訪れたいと思いました。
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法学部法学科3年 大盛健司さん
【自分のこと】
まず農業体験は小中高と全く経験したことのなかったものだったので、わくわくして臨みました。そこで気がついたことが3点あります。まず1つ目ですが、ビニールハウス内の湿度の高さが予想以上だったことです。そこのハウスを管理していらっしゃる方にお話をお聞きすると、ハウスの特徴として、夏は暑く、冬は寒いというのがあるそうです。私はてっきり快適に作業できる場所がビニールハウスだとおもっていたので、常識がひっくり返されたような気分でした。
2つ目として、雑草を実際に抜いてみると見た目よりもとても量が多く、またひとえに雑草とはいってもとても種類が多かったということです。今まで全く注目しなかった事実に気付くことができました。3つ目として、先程雑草の多さとともにハウスの中に住む虫の多さがあげられます。クモやバッタに混ざり、虹色のカナヘビやカエルなどを見ることができ、大阪神戸といった大都市の対岸にこのような貴重な自然が残されていることを知りました。
【人のこと】
淡路島のような過疎地に目をつけて活性化に取り組んでいる点が大企業としては珍しいと思いました。昨今日本の大企業がグローバル化というスローガンのもとで、日本の各地から撤退をし、外国の市場や外国の人材を求めて海外展開を急いでいます。その中であえてその流れに逆行するかのように淡路島という過疎地でプロジェクトを成功させようとするというのはとても面白いところに目をつけたなと思いました。P社の取り組みの成果か、他の過疎地とは違い山奥においても若い方がたくさん農作業している様子をみることができました。後継者不足に悩む淡路島の高齢の農家の方々の技術承継にもとてもやくだっていると思いました。
またあの宿舎に集まる人はまさに老若男女、外国の方もいてとても多様性があり、そのような様々なバックグラウンドを持った人が活性化に向けて足並みを揃えて頑張ることでより大きな力となっているのではないかと思いました。
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法学部国際公共政策学科3年 中村光さん
今夏、私の念願であったゼミ合宿を行うことができた。幸いにも当日の淡路島は天気に恵まれ、海水浴や花火、ぶどう狩りなどを存分に満喫することができた。何もかもが新鮮であった本合宿において、私は多くのことを感じた。以下、農業体験についてと、P社の取り組みについての2つに分けて述べる。
まず、農業体験について述べる。農地に到着すると、我々は3つの班に分割された。オクラ収穫班、ピーマン収穫班、草むしり班である。残念なことに、私は草むしり班に配属されてしまった。我々の班に与えられた任務は、半年間放置したビニールハウスの雑草を除去するというものであった。さて、いよいよ現場に到着し、ビニールハウスの中を覗いてみた。背の高い、我々にとって絶望的な量の草が室内一面に生い茂っている。半年間放置しただけでここまで荒れ果てるものなのか。そして中に入ってみると、予想通りサウナである。さらに、数多くの昆虫やクモやトカゲが生息している。私は、自然の底知れぬ力強さを感じるとともに、農業はそれらと戦い、ときには利用し、共に生きていく仕事であることを改めて痛感した。それでも何とか作業を終え、休憩している最中、我々の面倒を見てくださった農家志望の若い社員さんにTPPについて質問をしてみた。すると、意外な答えが返ってきた。その方は、日本のTPP加入について賛成であるそうだ。その理由は、「開国」をすることで、自分たちのような新規参入者にも何らかのチャンスがくるのではないか、というものだった。私は、日本における農業の世界の厳しい現実を前に、たとえわずかでも良いから、かりに状況が悪化してもよいから、その現実が少しでも変化することを望んでいるのであろう若者の姿が非常に印象に残っている。
次に、P社の取り組みについて述べる。本淡路島におけるプロジェクト(C村)は、芸術家としてのプロを目指しながら農業のスキルも身につける、という新しい兼業スタイルを提示するものである。私は、芸術家のプロを目指すことに伴う将来への不安に着目した、優れたビジネスモデルであると思った。すなわち、プロを目指す多くの人が感じるそのリスクを、P社が従来からの得意分野である農業によってヘッジすることを提案することにより、巧みに市場を切り開くことに成功したのである。この先、社員の方がどの道に進もうと完全に独立するまでサポートすることができたならば、事業としても安定するばかりでなく、農業従事者の増加へと結びつくのではないかと私は考える。
以上のように、本合宿は実に有意義なものとなった。私は、P社の方々やN先生をはじめ、この合宿にご協力いただいた方々に深く感謝するとともに、この合宿で得た経験を糧に、日本の、自分の未来について考えていこうと思う。以上
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