2012年1月30日月曜日

英語でビジネス会議と交渉を学ぶ授業―最近の学生は×××


2回生向けの英語で会議と交渉を学ぶセミナーが21日に終了。最終試験は、英国企業と日本企業との業務提携交渉に関するビデオドラマのワンシーン7分くらいをグループで上演したものを評価した。セリフを覚えて演じきった学生がかなりいたことと1学期で全員が見違えるように進歩したことに驚いた。
2012130

実はツイッターで書いた以上に学生の達成度に驚いた。正直若い頃は「最近の学生は」と愚痴ったこともあったが、最近は違う。今の学生は、われわれが学生のころと比べると「本当によーやるわ」。

台本の一部を紹介しよう。

Yasukawa  We have a proposal to make here, Mr. Parker. In return for exclusive licences, we would be willing to buy the magnets for world markets, direct from you, for a period of three years.

Hamilton  We appreciate your gesture, Mr. Yasukawa. At this stage, however, we do not see this as a viable option.

Parker  Let me add this. If we did license our products, Mr. Yasukawa, we would have to sell to the highest bidder.

Yasukawa    May I get this clear? Do you mean Hyperscan?

Parker   As I said, Mr. Yasukawa, it would be our very last option.

Yasukawa  Gentlemen and Mrs. Highsmith, we think that we have gone as far as we can go at this stage. Clearly, there's still a problem of-how do you say?-expectations here. If we can't agree about Europe, how can we talk about the world?



ベストパーフォーマーとベストロール賞の受賞者による上演
背景は実際のビデオドラマのシーン




最後に、ティーチングアシスタントのKHさんの記録をもとにNOMKNが作成した当日の進行。

121日土曜日
最終講義の場所は講義シアター。劇場とは変な名前と思うかもしれないが、講義はすべからく劇のようにあらねばならないという第2Deanの方針で命名された。今回の上映にふさわしいシアターであった。

(1)スケジュール
1.10:30-11:30   英語の耳と口の練習 & Unit5の内容と発音等の確認
            昼休み(1時間30分)
 2.13:00-14:10   パフォーマンス&フィードバック(チームDB
            休憩(10分)
 3.14:20-15:30   パフォーマンス&フィードバック(チームCA
            休憩(10分)
 4.15:40-16:10   まとめ

(2)パフォーマンスの順番
AからDグループ(名前)
 1.DOOSN
 2.BANOH
 3.CIKTY
 4.AKNHH

(3)特記事項
 1.配役等はチーム内で事前に決めておいた
 2.優秀なパフォーマンスをした者に各種賞を授与した
Best Performer (as Hamilton)Kさん(Aチーム)
2nd Best HamiltonIさん(Cチーム)
Best ParkerHさん(Bチーム)
Best YasukawaSさん(Dチーム)
Best HighsmithOさん(Dチーム)

 3.講義シアターの他に3部屋確保、昼休みの練習で使用
 4.全員に評価シート(添付ファイル参照)を配布、全員が全員の評価をした。
 5.ビデオ撮影→各チームの演技の撮影は失敗。ベストパーフォーマーとベストロール賞受賞者のみのベストチームによる上映のみ撮影できた。


THE END

2012年1月27日金曜日

説明上手と下手の違い


わかりやすく説明できる人とそうでない人の違いを最近発見した。説明下手な人はわからないことを人のせいにする。わかるはずだと思う。だから治らない。説明上手は自分が至らないからだと思う。学者でも大学院生でも秘書でも、いつも気をつけて相手の立場で説明しているから上達するのである。

仏教学者の中村元(19121999)先生のつぎの言葉は、わかりにくい論文や教科書を書く法学者になるほどと思わせるものだ。なにしろ、漢訳仏典ではわけがわからんというので多数(ご本人は「とびとびに撫でただけ」といわれる)の仏典をサンスクリット[1]原文から訳し直された方なのである。説得力がある。
「一般に、わかりやすく説くのが通俗的で、わけのわからないようなしかたで説くのが学術的であるかのように思われているが、これはまちがいで、わかりやすく説くのが学術的で、あいまいなままにしておくのは非学術的であろう。」[2]
 もっとも、いつか紹介した『ブッダのことば スッタニパータ』[3]はパーリ語聖典から翻訳されたそうだ。そこではなぜ漢訳語ではだめなのかの理由がつぎのように述べられている。
「もともとインドでは耳で聞いて口づてに伝承されていたものであるから、この性格をやはり保持したいと思った。耳で聞いても解らぬような漢訳語を使うことは、およそ原典の精神から逸脱している」[4]
法学者の想像を超えた学識で、参りましたです。

『ブッダのことば スッタニパータ』では、中村先生はブッダの「その生き生きとしたすがたに最も近く迫りうる書」(433頁)「歴史的人物としてのゴーダマ・ブッダに最も近いものであり、文献としてはこれ以上遡ることができない」(438頁)と説明されている。この記述からは、先生の「これは伝えねば」という意気込みと使命感が感じられるのではないだろうか。
日本の学者の論説や翻訳がわかりにくいのは、本当の語学力がないことに加えて、「伝えたいという思いが弱いから伝わらない」からだと書いたが[5]、日本にも中村先生のような本物の学者がいたのである。




[1] サンスクリットだけではないことは、後述。
[2] 中村元著 シリーズ「現代語訳 大乗仏典」全7巻の各巻についている「はしがき」より。
[3] 201183日水曜日http://nomurakn.blogspot.com/2011/08/blog-post.html.ワイド版岩波文庫、1991年。
[4] 前掲注(3)440頁。
[5] 2011611日土曜日「伝えたいという思いが弱いから伝わらない」http://nomurakn.blogspot.com/2011/06/blog-post.html.2010521日金曜日「弁護士と法学者の対話」http://nomurakn.blogspot.com/2010/05/blog-post_21.html.