グローバルリーダーシップ通信 第194号(2026年2月)、NPO法人グローバルリーダーシップ・アソシエーション(GLEA)より転載
「今月のリーダーシップ情報 【コラム/column】
大阪大学特任教授
野村 美明 氏(当法人理事長)
「リーダーシップの授業評価の難しさ」
大阪大学のリーダーシップ科目では、評価を試験やレポート一発で決めるのではなく、多角的に行っている。この方法は10年ほど前に確立し、概ね納得のいく結果が得られている。しかし、説明が不十分だと学生に思わぬ誤解が生じる。教員の持ち時間が、毎授業平均5分から長くて40分ほどしかないため、つい説明を省略してしまうことも原因だ。
最も多い誤解は、学生がファシリテータを担当する授業でのパフォーマンス評価である。分担した役割の評価が平常点の30%を占めるため、受講生も真剣だ。社会人経験のある学生が、自分で「講義」を始めてしまうことがあるが、教員としては「意見を述べる場ではない」「話が長すぎる」と注意せざるを得ない。ところが他の受講生は「面白い」と感じることもあり、不満が生じる。
受講生はファシリテータのほか、ゲストスピーカー紹介、マイク回し、議事録作成など様々な役割を担うが、評価はあくまで「その役割」に応じて行われる。したがって、ファシリテータ役が他者の意見を引き出さず、自分の意見をとうとうと述べてしまうと、教員からはレッドカードが出る。他の受講生からすると「話は創造的で面白いのに、なぜ批判されるのか」となるわけだ。
教員側も、レッドカードをうまく出せれば反発は少ないのだが、学生の「演説」が止まらないと、つい強めにストップをかけてしまう。他の受講生が意見を述べたり、全体でディスカッションしたりする時間が奪われると焦るからである。
達人のファシリテータなら、「君は自分の意見にとても自信があるようですが、他の受講生の意見も聞いてみたいな」といった形で場を整えるのだろう。しかし、いつもそんなにうまくはいかない。本人も他の受講生も納得できるアドバイスを、毎回コンスタントに出せれば最高なのだが。
一生教員をしているが、まともな説明ができるのは10回に3回くらいだ。でも、野球で言えば3割打者。そう考えれば、なかなかすごいやんか。」
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ご参考:「経営者と語るリーダーシップ」概要
https://www.osipp.osaka-u.ac.jp/leader/keieisha.html
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