2016年6月15日水曜日

問題の定義と変革コスト


問題とは現状(実際の姿)と目標(あるべき姿)との差異と定義される。定義を知っていると、色々なことがわかる。現状と目標の差異が大きいと、あるべき姿に変化するためにイノベーションや適応が必要となる。しかし変化は人々に負担を強いる。新環境にどう適応させるかはリーダーシップの課題だ。


下のスライド5は、危機管理(現状が危ない状態)と生活改善(現状はまあまあ)では現状と目標をどう見るか(認知)が異なることを示している。たとえば災害による被害は危機管理の例に近く、現状がマイナスだから、災害前の状態(ゼロ)に戻る復興だけでも大きなコストがかかる。生活改善でも危機管理でも、現状に比べた目標の高さが高いほど、変化に必要なコストは高くなり、目標達成は難しくなることがわかる。

もっとも、現状を認知できない場合には、問題の存在もわからないので、現状が維持されることになる(スライド2「杞憂は杞憂か」、スライド4「見ない・聞かない・気づかない」参照)。もちろん、目標を明確にイメージできなければ、現状よりもましな状態にすら変化することもできない。

現状を訴え、目標を明確に示した例としてわかりやすいのが、マーチンルーサーキングのI have a dreamスピーチ[1]である。いつくかの夢が繰り返し語られるが、「わたしの4人の子供たちが肌の色ではなく人間としての中身で判断されるような国に住めるようになることを」というのは夢としても大義名分としても訴える力が強い。












[1] 音声付きは、http://www.americanrhetoric.com/speeches/mlkihaveadream.htm.政府のアーカイブ版は、https://www.archives.gov/press/exhibits/dream-speech.pdf.








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