2023年5月19日金曜日

リーダーは最後に食べなさいの意味再考

 

 以下は、以前の投稿[1]を読みやすいように整理したものである。Ver.2023-05-19

海兵隊でリーダーは最後に食べよというのは、リーダーシップの真価が自己より他者の要求を優先する態度にあるからだ。偉大なリーダーは、他者を従わせる特権があるから他者を真に大切に思い、その特権が私利私欲を捨てることで与えられたものだとわかっている。元海兵隊中将George Flynn[2]

出典は次の書籍の序文である。Simon Sinek[3], Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don't (Penguin UK, 2014)  ISBN 0670923184, 9780670923182

サイモン・シネック (), 栗木 さつき (翻訳)『リーダーは最後に食べなさい! ―最強チームをつくる絶対法則』(日本経済新聞出版社、2015)[4]

栗木さつき氏の翻訳とは少し異なるが、これは、リーダーが他人をしたがわせる「特権」と、リーダーが特権と引き換えに他人に対して負担する他人利益優先「義務」の関係を明らかにするためである。

海兵隊のように生死に関わる状況に直面した場合には、リーダーは自己を犠牲にして部下の安全を守る責務を負うことになる。日頃から自己利益より部下の利益を優先する態度を身につけておかないと、部下の信頼を得ることは出来ないから、非常時にチームとして行動することが出来ず、結局チームを危険にさらす結果となる。

生命の危険が存在しない大学の授業においても、リーダーとしての仕事を任された学生が自分の利益を優先させてしまうと、信頼を失ってだれもついて来なくなる。たとえば次のケースがそうだ。

リーダーは最後に食べなさいという。大学のリーダーシップの授業で、ゲストスピーカーをお願いした卒業生らを招いて意見交換会をした。リーダー役の男女二人の学生は、見事に場を仕切っていた。さて、乾杯が始まって食事の時間になると、この二人は真っ先にかぶりついていた。ところが、企業トップだった卒業生は、たくさん並んだ瓶ビールの王冠を懸命に開けていた[5]

この卒業生が瓶ビールのふたを開けていたのは自分が飲むためではないのはもちろんである。リーダーシップの練習をしているのに、他人のために動こうとする学生がだれもいなかったのである。


[3] Simon Sinek, an unshakable optimist, is the author of the bestselling book Start with Why, which challenged traditional assumptions about how great leaders and great companies inspire people. He has shared his ideas with companies big and small, members of Congress and the highest levels of the US military. His TEDTalk based on Start with Why is the second most popular video of all time on TED.com. He lives in New York City.

[4] http://www.amazon.co.jp/dp/4532319757/ref=cm_sw_r_tw_dp_oq6fvb14ENF5B …

[5] 次のツイートに加筆した。https://twitter.com/nomurakn/status/582078013824581633.

2023年5月2日火曜日

大阪大学OSIPPグローバルリーダーシップ・プログラム 2023年度 共通テキスト20230421版

大阪大学大学院国際公共政策研究科グローバルリーダーシップ・プログラムで使用している共通テキストです。