2013年8月18日日曜日

相手の言い分を聴く練習 議会で覆面は許されるか

17日に梅田のナレッジサロンで開催された大澤先生のワークショップ。相手の言い分を聴いてポイントを捕まえる練習が参考になった。議会での覆面着用賛成派と反対派が、お互いに相手の言い分の理解度を試す方法だ。 問い直そう「議会の品位」土本匡孝 mainichi.jp/opinion/news/2

やり方
Ⅰ 毎日新聞の土本匡孝氏の議事を読んで、覆面賛成派と反対派の2チームに別れて、それぞれの主張を理由づける論点を5つ拾い出し、各チームでホワイトボードに書き出す。

Ⅱ.賛成派と反対派で簡単なディベートをする。

Ⅲ.賛成派と反対派がお互いに相手方の言い分を理解できているかを、つぎのような方法で確認する。
1.覆面着用賛成派Xさんの言い分「abcdという理由で着用を認めるべきです。」
2.反対派Yさん「なるほど、Xさんはabcだからという理由で着用に賛成されるわけですね。」
3.賛成派Xさん「うーん、ちょっと違うかも。」
4.反対派Yさん「そうですか。ではXさんはabcdという理由で着用を認めるべきだというお考えなのですね。」
5. 賛成派Xさん「そのとおりです。」

Ⅳ.一通り終わるとつぎは対派の言い分について行なう。

Ⅴ.2つのチームからそれぞれ同数の中立のファシリテーターを選び、ファシリテーターが前に着席したところで、2つのチームの賛成と反対の立場を逆にする。

Ⅵ.ファシリテーターが双方の議論をかみ合わせる。何が問題か。解決策は何か。それぞれの立場が折り合える点はないか。

→新しいアイディアを生み出すことはできるか。


                      一場面



----参考資料
記者の目:問い直そう「議会の品位」=土本匡孝
毎日新聞 20130423日 0038
 議会の品位とは何か。2月の大分市議選で初当選した全国3人目の覆面レスラー議員、スカルリーパー・エイジ市議(44)=無所属=が、覆面着用での議場入りを「品位に欠ける」として拒否された異常事態を、3月まで勤務した大分支局で取材した。エイジ市議は「投票してくれた2828人の意思を無視している」と議場ドア前に立って抗議したが、会派代表者会議、本会議と2度の「NO」決議を受けて3月19日、「議員の仕事がしたい。大人の対応をする」と、覆面を脱いで議場入りした。全国的に政治不信が叫ばれて久しい。一連の騒動が有権者にとって議会をチェックし、「品位」を問い直すきっかけになればと願う。・・・以下略

2013年5月14日火曜日

バルコニーに上がれ(go to the balcony) ハイフェッツからユーリーへ


ハーバード流交渉術のユーリーは、1991年の著書で「バルコニーにあがって」困難な交渉を眺めよと書いた。ハイフェッツの著書が世に問われる1994年以前に、ユーリーが同僚のハイフェッツの講義から引用したのだ。最近は近所がテロで騒がしいが、ハーバードの知的環境はうらやましい。

1991年の著書とは、William Ury, Getting Past No  Negotiating with Difficult People[1]NOと言わせないためには-難しい人達との交渉法)である[2]。ややこしいのは、同じ1991年にバンタムブックスから出版されたハードカバー版が、1993年にペーパーバック版になった際に改訂されて、William Ury, Getting Past No  Negotiating in Difficult Situations[3]NOと言わせないためには-難しい状況での交渉法)となったことである。

バンタムブックスのペーパーバックでは、書名の副題が「難しい人達との交渉法」から「難しい状況での交渉法」に変わった。しかし、コピライトの頁(タイトルページの裏)やユーリーの2006年付の著者注では書名はGetting Past Noと表示されており、改訂版であることはタイトルページにしか明示されていない。ちなみに、ランダムハウス/ビジネスブックスのペーパーバック[4]では、副題は従来通り「難しい人達との交渉法」となっている。

バンタムブックスのペーパーバックで副題「難しい状況での交渉法」を含む改訂がされたことは、1992年のユーリーによる「ペーパーバック版への著者注」に説明されている[5]「難しい人達との交渉法」という副題では、この本が難儀な性格の相手方との交渉法に関するものだという誤解を読者に与える。しかし、困難な交渉では、お互いが相手を難しいと思ってしまうことが問題なので、「難しい状況」に重点を置いたのだという。しかし、現在入手できるペーパーバックでは、前述の著者注は2006年付けで「著者注 15年後」[6]に変更されていて、現在でも販売されている従来の「難しい人達との交渉法」の副題が付いた版と改訂版との違いはどこにも説明されていないのである。

どのような事情があるのかはわからないが、内容の異なる複数の版が識別困難な紛らわしい書名で発行されているというのは、著者の良識を疑わせる。ある程度エエ加減なところがないと交渉の大家にはなれないということなのかもしれない。


[1] 現在はつぎのペーパーバックが入手可能である。Business Books (Random Century Group),1992,ISBN-10: 0712655239,ISBN-13: 978-0712655231, pp.2,17 and 157.
[2] 翻訳は、ウィリアム ユーリー (), William L. Ury (原著), 斎藤 精一郎 (翻訳)『【決定版】ハーバード流“NO”と言わせない交渉術』単行本(ソフトカバー)三笠書房 (November 27, 2010)ISBN-10: 483795717XISBN-13: 978-4837957171、ウィリアム ユーリー (), William L. Ury (原著), 斎藤 精一郎 (翻訳)『決定版 ハーバード流“NO”と言わせない交渉術』 (知的生きかた文庫) [文庫]三笠書房 (May 1995)ISBN-10: 4837907377ISBN-13: 978-4837907374
[3] 次のペーパーバックが入手可能である。Bantam Trade Paperback reissue, March 2007, (1991, 1993), ISBN: 978-0-553-37131-4 (0-553-37131-2).
[4] 前掲注(1)28刷、(2012)
[5] Bantam Trade Paperback ed, February 1993 (1991,1993), “Author’s Note to the Paperback Edition” at ix dated June,1992. See http://www.randomhouse.com/book/182088/getting-past-no-by-william-ury/9780553371314/ (last visited May 14, 2013).
[6] “Author’s Note, Fifteen Years Later” at ix-xii, 前掲注(5)

2013年5月13日月曜日

私立探偵っておかしくない?


研究会の内容と関係ないことでへーそうなんだと思ったこと。私立探偵。公立の探偵っている?原語はprivate detective。私立刑事なのだ。米国では州から逮捕権を与えられたprivate police私立警官もいる。反対に、18世紀のロンドンには組織化された警察はなかった。
https://twitter.com/nomurakn/status/63857963156246528


「いつも当然と思っているものがよく考えるとおかしいことがある」という趣旨で2年前にツイートしたのだが、どこの研究会で気がついたのか忘れてしまった。この日の午後は第15回リーダーシップ教育研究会に参加したことになっているのだが。ちなみに「探偵」というのは法律用語になっている[1]

18世紀のロンドンには組織化された警察はなかったという話は、P. S. Atiyah, The Rise and Fall of Freedom of Contract,(Oxford,1979)で読んだ[2]。大学院のスクーリングである。そこで、私立警官かガードマン(法律用語は、警備業者・警備員[3])が警察機能を担ったと知って、警察というのはお上のものという意識は絶対的なものではないことに気がついたのであった。


[1] 探偵業の業務の適正化に関する法律(平成十八年六月八日法律第六十号)。
[2] 要約は、次を参照。矢崎 光圀  監修「イギリス契約法史の一潮流--アティアの近著に依拠して-3-」阪大法学127237238頁参照。ネットでは引用しかみられないのが残念。http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I2549296-00?ar=4e1f
[3] 警備業法(昭和四十七年七月五日法律第百十七号)。

2013年4月29日月曜日

プラトンの英訳の限界


演奏家でもあるハイフェッツは、しばしばリーダーシップで音楽の比喩を用いる。演奏家と聴衆との関係について、プラトンのつぎの引用がある。「相反する受け止め方があるから、熟考が呼び起こされるのである」。ところが、ほかのギリシャ語からの英訳ではニュアンスが異なる。続きはブログで。

件の引用は、演奏会では聴衆は受身だと思いがちだが実はそうではないという文脈で使われている。演奏家とのつながりが演奏を創る、人はあるものの他のものとの関係から創造するからだという[1]

ハイフェッツが引用したCornford訳(引用部分に下線を付する)はつぎのようである。

“Well then, that is the distinction I was trying to express just now, when I defined as provocative of thought impression of sense in which opposites are combined; whereas, if there is no contradictory impression, there is nothing to awaken reflection.[2]

ネットで見られるBenjamin Jowett訳は次の通り(下線が該当部分)。日本語で表現すれば、「同じ事象の中に対立する印象が混在しているような場合に、思考は喚起される」となるかな。

 “This was what I meant when I spoke of impressions which invited the intellect, or the reverse --those which are simultaneous with opposite impressions, invite thought; those which are not simultaneous do not.[3]
 
ハッチソン社のプラトン全集の英訳もJowett訳に近い。下線部を日本語に翻訳すると次のような感じか。「1つの意味とそれと相反する別の意味が想起されるような事象が、思考を喚起するものである。相反する意味が想起できないような事象は、理解を覚醒させることはない。」
 
“This, then, is what I was trying to express before, when I said that some things summon thought, while others don’t. Those that strike the relevant sense at the same time as their opposites I call summoners, those that don’t do this do not awaken understanding[4]

以上は、翻訳によって読者に与える印象がまったく異なる例である。誤訳のほうが読者に強い印象を与えることもあるかもしれない。昔の教養人ならギリシャ語で読めたかもしれないが[5]。ここでは英語から日本語への訳も介在しているから、プラトンが本当に何を考えていたかはよくわからない[6]


[1] Ronald A. Heifetz, Leadership Without Easy Answers, 6 (Belknap Press of Harvard U. Press, 1996) at p.6 and note 7 at p.279. ロナルド・A・ハイフェッツ/幸田シャーミン訳『リーダーシップとは何か!』(産能大学出版部1996年)。
[2] The Republic of Plato,Translated with Introduction and Notes by Francis Macdonald Cornford [Book XII 524 d.] p.240 (Oxford: OUP, 1941).
[3] The Republic by Plato, Translated by Benjamin Jowett, BOOK VII Socrates – GLAUCON, http://classics.mit.edu/Plato/republic.mb.txt.
[4] The Republic Book XII 524 d.,Translated by G. M. A. Grube, revised by C. D. C. Reev,In Complete Works, Plato ,Edited by John M. Cooper, Associate Editor D. S. Hutchinson, 1997 - 1,838 pp.
[5] ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill, 1806 - 1873)は少年時代にギリシャ語でプラトンの国家を読んだ(教育パパのジェームズ・ミルにラテン語やギリシャ語の古典を読まされた)という。Autobiography of John Stuart Mill : Published from the Original Manuscript in the Columbia University Library, (1924) p.15.ネットでも読める。http://www.gutenberg.org/cache/epub/10378/pg10378.html
[6] 古典の翻訳は本当に難しいが、聖典の翻訳はさらに困難である。弘法大師空海が「真言は不思議、・・・一字に千里が含まれる・・・」(眞言不思議 觀誦無明除 一字含千理 即身證法如)と解釈したのも無理はない。般若心經祕鍵(No.2203-A)SAT大正新脩大藏經テキストデータベース2012版、http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/ddb-bdk-sat2.php. 聖書の翻訳について、「根拠を示して発言するということ」を参照。http://nomurakn.blogspot.jp/2011/05/blog-post.html


2013年2月4日月曜日

2013年交渉力ワークショップ実演から学ぶこと



2013/1/26(土)「交渉力ワークショップ コミュニケーション力をのばす」で高橋・浅田両氏の交渉実演から、昨年の交渉コンペでの失敗交渉の対策を学んだ。

(1)短時間に相互に利害を分析してオプションを創造するという定石通りの交渉は、茅野みつる先生いわく「ポイントが凝縮された」よい教材となる。

(2)「まず複数のオプションをつくり、決定はその後にする」では、この部分は法的には「無権限または権限踰越」であると断ってオプションをつくっていた。

(3)複数の交渉事項をテーブルにのせて全体を見ながら交渉し、合意できなかった事項は再度交渉することを合意すると決裂が回避される。

23日投稿INC大学対抗交渉コンペティションOBOGグループ
http://www.facebook.com/groups/213405158717103/



2013年1月23日水曜日

教え込む場ではなく学びの支援と学位認定の場に


「教育と米国の未来についての全米委員会」のトム・キャロル会長は「実際の学校は一方的に教え込む場ではなく、学びを支援するとともに習熟度を測り、学位や資格を認定する場になる」(日経0121)と予言する。今やっているグローバールリーダシッププログラムは先駆けか。保守派の抵抗はつよい。
https://twitter.com/nomurakn/status/293718470112206849

「教育と米国の未来についての全米委員会」などというからあやしいと思ったら、NCTAFは権威のある団体のようだ。


The National Commission on Teaching and America’s Future (NCTAF) was founded in 1994 to ensure that every child has access to quality teaching in schools organized for success. In partnership with national, state, and local education agencies, NCTAF develops prototypes for innovative teacher preparation, collaborative teaching teams, and strategies to leverage community engagement, sharing the impact of these programs with those who influence education legislation and policy.
http://nctaf.org/

学校を教え込む場ではなく学びの場にという趣旨のこの記事の出典はわからない。もしかしたら感心にトム・キャロル氏に取材したかもしれない。しかし、これはトム・キャロル氏のキャッチフレーズであるようだ。その通りだと思う。

“The future of education is about less teaching and more learning. I am committed to transforming schools from teaching organizations into learning organizations.”

http://www.changemakers.com/users/tom-carroll

トム・キャロル氏人類学者だったらしいが、今では教育革新の論客として引っ張りだこのようだ。


“He taught and did research in the School of Education at Clark University and holds a Ph.D. in Cultural Anthropology from SUNY Buffalo. Tom served as a Peace Corps Volunteer in Lesotho from 1967-1969.”
“Tom is a nationally-recognized speaker on innovation in education, teamwork and collaboration in high performing organizations, educator development, deployment of community resources in schools, STEM, and effective integration of technology in teacher professional learning and pedagogical practice. His dynamic public speaking and unique approach to problem-solving, make Tom a frequent presenter and panelist at meetings and conferences across the country.”
http://nctaf.org/nctaf-team/tom-carroll/

2013年1月20日日曜日

チュッパチャプス商標権侵害事件


チュッパチャプス。海堂尊作のジェネラル・ルージュの好物。田口に業者からの私的供与が指摘された飴。この商標が楽天市場で赤ちゃん用よだれかけなどに違法に使われていた。飴を輸出するスペイン会社ではなくイタリアの親会社が商標権侵害で楽天を提訴。知財高裁は楽天の責任は認めなかった。

東城大学医学部付属病院救命緊急センター部長「速水は棒付きの飴をくわえている。・・・今夜のチュッパチャプスは何味だろう。」海堂尊『ジェネラル・ルージュの凱旋』(宝島社文庫、2009年)「桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の火喰い鳥白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。http://www.amazon.co.jp/




知財高裁平成24年2月14日判決チュッパチャプス商標権侵害差止等請求控訴事件
裁判所ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/掲載




控訴人(一審原告) ペルフェッティ ヴァン メッレ ソシエタ ペル アチオニ(Perfetti Van Melle S.p.A)
被控訴人(一審被告) 楽天株式会社

「一審原告である控訴人は,イタリア共和国法によって設立された会社であり,下記商標権(詳細は原判決別紙「原告商標目録」記載のとおり)の管理等を行う法人である。」
「本件訴訟は,一審原告である控訴人が,一審被告である被控訴人に対し,一審被告の運営するインターネットショッピングモール(楽天市場)において,本件商品1~6を展示又は販売することは,一審原告の上記商標権を侵害又は一審原告の商品を表示するものとして周知又は著名な「チュッパ チャプス」,「Chupa Chups」の表示を利用した不正競争行為(不正競争防止法2条1項1号・2号)に該当すると主張して,商標法36条1項又は不正競争防止法3条1項に基づく差止めと,民法709条又は不正競争防止法4条に基づく損害賠償と遅延損害金の支払を求めた事案である。」知財高裁平成24年2月14日判決より
「原告の子会社であるCHUPA CHUPS S.A.は,1959年(昭和34年)ころから,スペインにおいて,「Chupa Chups」のブランド名の棒付きキャンディ(以下「チュッパチャプスキャンディ」という。)の販売を開始し,同キャンディには,その販売当初から英文字の「Chupa Chups」の表示が使用され,1969年(昭和44年)ころからは本件各登録商標と同一の標章が使用されるようになった。
 森永製菓株式会社(以下「森永製菓」という。)は,1977年(昭和52年)から現在に至るまで,原告の子会社であるPerfetti Van Melle ExportFar Eastを通じて,スペインのCHUPA CHUPS S.A.からチュッパチャプスキャンディを輸入し,これを日本国内において販売している。」東京地方裁判所平成22年8月31日判決(裁判所ウェブサイトhttp://www.courts.go.jp/)より

「ウェブページの運営者が,単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず,運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い,出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって,その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは,その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り,上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し,商標権侵害を理由に,出店者に対するのと同様の差止請求と損害賠償請求をすることができると解するのが相当である。」
「ウェブページの運営者は,商標権者等から商標法違反の指摘を受けたときは,出店者に対しその意見を聴くなどして,その侵害の有無を速やかに調査すべきであり,これを履行している限りは,商標権侵害を理由として差止めや損害賠償の責任を負うことはないが,これを怠ったときは,出店者と同様,これらの責任を負うものと解されるからである。」
「以上によれば,ウェブサイトを運営する一審被告としては,商標権侵害の事実を知ったときから8日以内という合理的期間内にこれを是正したと認めるのが相当である。
「本件の事実関係の下では,一審被告による「楽天市場」の運営が一審原告の本件商標権を違法に侵害したとまでいうことはできないということになる。」知財高裁平成24年2月14日判決より

以上