2015年10月25日日曜日
ツッコミ力養成講座 野村ゼミ最終年度
ツッコミは大阪では当然の言語文化に属するが、関東圏はそうでもないらしい。関西で採用された学生が東京採用の学生と何人かで話していて、相手が突っ込んでくれることを期待してボケているのにまったく反応がなくシーンとなったということをよく聞く。
次の作品は、2015年10月20日火曜日に商品開発版が法学部野村ゼミで実施したツッコミ力養成講座のプレゼン資料である。野村ゼミ最終年度の優れた成果として、著作権者の本田高基君の許諾を得て公表する。
例がお笑い芸人の実際のツッコミ例から引用されているところがユニークで、養成講座も「なるほど」と思わせる説得力があった。なお、引用部分の著作権の所在を明確にするために、最低限の修正を加えた。
2015年5月15日金曜日
リーダーとリーダーシップ
『Whyから始めよ』の冒頭に残念な誤訳がある。リーダーとリードする人が同じだと誤解してしまったのだ。シネックは、リーダーでもリーダーシップがないと人はついてこないが、あなたもwhyから語ればみんなが喜んでついてくるようになるという。
http://www.amazon.co.jp/dp/4532317673/ref=cm_sw_r_tw_dp_nsBvvb1BJ8RMH …
誤「世の中にはリーダーがいる。先頭に立ち、先導する人たちだ。リーダーは権力、もしくは影響力をもつ。そしてわたしたちを奮い立たせる。」正「リーダーとリードする人は違う。リーダーは権力や影響力のある地位にある。リードする人はわたしたちを奮い立たせる。」なお、TEDトークの訳は正確だ。
日本語翻訳の出典は、サイモン・シネック (著), 栗木 さつき (翻訳)『WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う』(日経、2012)である。英語原文は次の通り。
There are leaders and there are those who
lead.
Leaders hold a position of power or influence.
Those who lead inspire us.
Simon Sinek, Start with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Action (Penguin, 2009).
TEDトーク英語「テープ起こし」の翻訳と英語原文は次の通り。
17:11現代の政治家の12項目の総合計画と比べてください 誰かを動かすものではありません リーダーと 導く人は違います リーダーというのは 権威や権力の座にある人です でも導く人というのは 皆を動かすのです (Translated by
Natsuhiko Mizutani Reviewed by Yasushi Aoki.)
17:11Listen
to politicians now, with their comprehensive 12-point plans. They're
not inspiring anybody. Because there are leaders and there are those who lead. Leaders
hold a position of power or authority, but those who lead inspire us.
2015年4月29日水曜日
What is the difference between a citizen and a civilian?
What is
the difference between a citizen and a civilian?
Starship Troopers (1997)は、宇宙船も巨大昆虫との戦闘もリアルなSF映画だが、戦意高揚映画の形をとりつつ戦争を風刺している変わった作品だ。ハインラインの原作のカルタゴを広島に変えたりで傾向がまったく違う。 https://youtu.be/Qt52PF8LIB0
小説Starship
Troopersで傷痍軍人の倫理の教師が主人公に軍人と民間人(civilian)の義務に違いがあるかと問う。映画では軍人が市民(citizen)になっているが、主人公の答えは同じ。市民は命がけで国の安全を守る責任があるが民間人にはない。なぜだろう。
Citizen(市民),moral(義務)、body politic(国、政体)、personal responsibility(責任)は翻訳すると社会的実感から遠くなる。公民という科目は中高で習っているはずなのだが。英文はブログで。http://nomurakn.blogspot.jp/
きっと英語にうるさい日本人は、moralは道徳と訳すべきだいい、公民教育に熱心な人はcitizenは市民ではなく公民というべきだといい、学者はbody politicは政体と翻訳すべきだというかもしれない。するとよけいに社会的な実感から遠くなるように思われる。
これらの用語の日本語および英語における歴史的背景や社会的な意味合いがわからないと、正確に翻訳することができないのだろう。とてもその域には達していないので、もとの英文を引用しておく。
小説からの引用
I thought about it during the last session of our class in History
and Moral Philosophy….
Suddenly he [Mr.Dubois] pointed his stump at me.
“You. What
is the moral difference, if any, between the soldier and the civilian?”
"The difference…lies in the field of civic virtue. A soldier accepts personal responsibility for the safety of the body politic of which he is a member, defending it, if need be, with his life. The civilian does not." From Robert A. Heinlein, Starship Troopers (1959).
"The difference…lies in the field of civic virtue. A soldier accepts personal responsibility for the safety of the body politic of which he is a member, defending it, if need be, with his life. The civilian does not." From Robert A. Heinlein, Starship Troopers (1959).
映画からの引用
RASCZAK: What’s the moral
difference, if any, between the citizen and the civilian?
Rico: A citizen accepts
personal responsibility for the safety of the body politic, defending it with
his life, a civilian does not.
From a
film “Starship Troopers” (1997) directed by Paul Verhoeven, acted by Casper Van
Dien as Johnny Rico and Michael Ironside as Jean Rasczak.
2015年4月23日木曜日
リーダーは最後に食べなさいの意味
海兵隊でリーダーは最後に食べよというのは、リーダーシップの真価が自己より他者の要求を優先する態度にあるからだ。偉大なリーダーは、他者を従わせる特権があるから他者を真に大切に思い、その特権が私利私欲を捨てることで与えられたものだとわかっている。元海兵隊中将George Flynn
出典は次の書籍の序文である。Simon Sinek[1],
Leaders Eat Last: Why Some Teams Pull Together and Others Don't (Penguin UK,
2014) ISBN 0670923184, 9780670923182
サイモン・シネック (著), 栗木 さつき (翻訳)『リーダーは最後に食べなさい! ―最強チームをつくる絶対法則』(日本経済新聞出版社、2015)
栗木さつき氏の翻訳とは少し異なるが、これは、リーダーが他人をしたがわせる「特権」と、リーダーが特権と引き換えに他人に対して負担する他人利益優先「義務」の関係を明らかにするためである。
海兵隊のように生死に関わる状況に直面した場合には、リーダーは自己を犠牲にして部下の安全を守る責務を負うことになる。日頃から自己利益より部下の利益を優先する態度を身につけておかないと、部下の信頼を得ることは出来ないから、非常時にチームとして行動することが出来ず、結局チームを危険にさらす結果となる。
生命の危険が存在しない大学の授業においても、リーダーとしての仕事を任された学生が自分の利益を優先させてしまうと、信頼を失ってだれもついて来なくなる。たとえば次のケースがそうだ。
リーダーは最後に食べなさいという。リーダーシップの授業で卒業生らを招いて意見交換会をしたら、リーダー役の学生が真っ先にかぶりついていた。企業トップだった卒業生は瓶ビールのふたを懸命に開けていた。http://www.amazon.co.jp/dp/4532319757/ref=cm_sw_r_tw_dp_oq6fvb14ENF5B
…
この卒業生が瓶ビールのふたを開けていたのは自分が飲むためではないのはもちろんである。リーダーシップの練習をしているのに、他人のために動こうとする学生がだれもいなかったのである。
[1]Simon Sinek, an unshakable optimist, is the author of the
bestselling book Start with Why, which challenged traditional assumptions about
how great leaders and great companies inspire people. He has shared his ideas
with companies big and small, members of Congress and the highest levels of the
US military. His TEDTalk based on Start with Why is the second most popular
video of all time on TED.com. He lives in New York City.
2015年2月13日金曜日
リーダーとしての弁護士に必要な能力とは Lawyers as Leaders Need “Complementary” Competencies
ハーバード法科大学院のウィルキンス教授が2月10日の日本の同窓会で話されたテーマは、つぎの論文の内容だった。
ウィルキンス教授らの主張は、弁護士は専門的技術者と賢いアドバイザーとしての役割の他に効果的なリーダーとしての役割があり、それに伴う4つの責務があるが、これを全うするにはコアとなる法律学の能力だけではダメで、補完的能力が必要だという。
ウィルキンス教授らの論文によれば、リーダーとしての弁護士が果たすべき責任とは、顧客と利害関係者に対する義務、法制度に対する義務、所属組織に対する義務およびより広い社会に対する義務であり、これらを果たすために必要とされる補完的能力とは、広い視野と知識と組織運営スキルだという。
ウィルキンス教らの主張の構造は次のようになる。
弁護士の3つの基本的役割:expert
technicians, wise counselors, and effective leaders à
弁護士の4つの責任:duties to
clients and stakeholders; duties to the legal system; duties to one’s own
institution; and duties to the broader society. à
補完的能力:broad vision, knowledge, and
organizational skills.
英語でまとめると:
A. Lawyers’ three fundamental roles: expert
technicians, wise counselors, and effective leaders à
B. Lawyers’ four responsibilities: duties
to clients and stakeholders; duties to the legal system; duties to one’s own
institution; and duties to the broader society. à
C. “Complementary” [Cf. "core"
legal] competencies: broad vision, knowledge, and organizational skills for the
above roles and responsibilities.
原文は次の通り。
“It explicates lawyers’ three fundamental
roles as expert technicians, wise counselors, and effective leaders. It
describes the sources and broad definitions of lawyers’ four responsibilities:
duties to clients and stakeholders; duties to the legal system; duties to one’s
own institution; and duties to the broader society. To effectively discharge
these responsibilities, it argues that lawyers must not only have “core” legal
competencies but also “complementary” competencies[p.5] involving broad vision,
knowledge, and organizational skills that, while not unique to lawyers, are
essential to the counseling and leadership roles. This Part thus describes how
our framework goes beyond the limits of the bar’s formal ethical rules and
challenges lawyers as both professionals and as citizens.”[p.6]
Ben W. Heineman, Jr. William F. Lee & David B. Wilkins, “Lawyers as Professionals and
as Citizens: Key Roles and Responsibilities in the 21st Century” https://clp.law.harvard.edu/assets/Professionalism-Project-Essay_11.20.14.pdf.
2015年2月1日日曜日
あるべき「採用基準」とリーダーシップ
昨日[2013年11月13日水曜日]のリーダーシップを考えるでは、大澤先生と、伊賀泰代さんの『採用基準 地頭より 論理的思考力より 大切なもの』についての議論をした。リーダーの4つのタスク。ゴール(到達点)をメンバーに示す、先頭を走る(前に出る)、決める(不決断は最悪)、伝える。今日の授業ではこれらを検証した。
随分前にあるべき「採用基準」とリーダーシップの関係についてツイートだけして、元の授業資料をアップし忘れた(と思う)。ブログに掲載しておかないと、ファイルの検索が難しい。だれかよい方法教えて下さい。というわけでまた忘れないうちに。
2015年2月1日
Ver.2013/11/14 野村美明
Ⅰ リーダーはなにをすべきか=4つのタスク
タスク1.ゴール(到達点または目標)をメンバーに示す
タスク2.先頭を走る(前に出る)
タスク3.決める(悪い決断は決断しないよりよい:A bad decision is better than no decision.)
タスク4.伝える
◎リーダーシップの学び方=基本動作
基本動作1.バリューを出す(メンバーの思考や行動に変化を起こす)
基本動作2.ポジションを取る(引き受ける)
基本動作3.自分の仕事のリーダーは自分(上司を含め周りの人に動いてもらって成果を出す)
基本動作4.ホワイトボードの前に立つ
Ⅱ リーダーシップ教育の4条件
条件1. 全員に一定レベルのリーダーシップを身につけさせるという明確な目標
条件2.理論を教える
条件3.理論を試す実地訓練をする
条件4. 出来具合(リーダーシップのパーフォーマンス)についてフィードバックをする
伊賀泰代『採用基準 地頭より 論理的思考力より 大切なもの』
(ダイヤモンド、2012年)
2015年1月24日土曜日
泡沫裁判所のバイパス効果
蓮行流演劇ワークショップは、コミュニケーション力を高めようというかなり無責任な「目標」を掲げる。http://www.npo-glea.org/glea/?p=1121 .蓮行は、このように直接の効果をあえて示さないでとっつきやすくすることを、バイパス効果と呼ぶ。http://nomurakn.blogspot.jp/2012/03/2012.html https://twitter.com/nomurakn/status/558905611887206400
2015年1月23日のNPO法人グローバルリーダーシップアソシエーション(GLEA)のワークショップでは、受講者は蓮行先生の演出により泡沫裁判所という演劇を演じた。
簡単な内容は上にも掲げた2012年のこのブログに紹介したが、今回は次のようなバイパス効果の図を紹介したい。
2015年1月23日のNPO法人グローバルリーダーシップアソシエーション(GLEA)のワークショップでは、受講者は蓮行先生の演出により泡沫裁判所という演劇を演じた。
簡単な内容は上にも掲げた2012年のこのブログに紹介したが、今回は次のようなバイパス効果の図を紹介したい。
泡沫裁判所を大学の授業で取り上げるとすれば、直接の効果として「司法を理解することができる」とか「ディベートのスキルを身につけることができる」という目標を掲げないと、大学の評価に響く。しかし、司法のお勉強など嫌いやとか、ディベートって難しそうと思っている学生には、受講する意欲をなくさせる効果しかない。ここで直接の目標に至るルートではなく、演劇というバイパスを通って同じ目標を達成しようというのがバイパス効果である。
このときに、「演劇をしよう」では普通の学生には何のことか分からないので、学生のニーズに合わせて、たとえば「演劇をしながら楽しくコミュニケーションを学ぼう」というような少し曖昧で無責任な目的を掲げておくのがよいだろう。目標としては、「演劇を通じて社会で生きる力を身につけることができる」くらいがよいかもしれない。
もちろん、泡沫裁判所という劇を演じることによって、司法の考え方や裁判所、検察、弁護人や被告人の気持ちを理解することができたり、裁判員制度の大変さを感じ取ることができるなど、人それぞれたくさんのことをくみ取ることが可能である。教員の力次第では、学生は、親切な単一目的型教材では得られない学習体験をすることができる。
ちなみに、交渉の教材についても、どのような教材が望ましいかについて次のような一見対立する考え方があることを紹介しておこう。
・単一目的型教材「教材は、学習ポイントを絞り学習段階に応じた種類のものを体系的に配列すべきである。」
・くみ取り型教材(いわゆるケースメソッドに近い)「交渉教材には、色々な学習ポイントを含んだ現実に近い教材が含まれるべきで、教師が対話型授業を通じ、学習者の自発的な「気づき」をうながすことができるものとすべきである。」
出典:交渉教育研究会制作『実演交渉DVD 交渉は楽しい! ●解説テキスト』(商事法務、2011年)。
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